こんにちは。
薬膳師&鍼灸按摩マッサージ指圧師のクコです。
今日は第六話「やさしい味がした」の舞台裏を少しだけお話します。
このお話には「甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)」という漢方薬が隠れています。
私が描きたかったのは
「悲しみを急がせないこと」
でした。
第六話の女性は失恋をしていました。
眠れない。
食べられない。
味もしない。
そんな状態です。
現実なら、
「元気出して」
「次があるよ」
「時間が解決するよ」
そんな言葉を掛けたくなるかもしれません。
けれど養生堂のみんなは何も言いませんでした。
なぜなら、 悲しい時は悲しんでいいからです。
涙には涙の役割があります。
悲しみには悲しみの時間があります。
無理に元気にしようとすると、 かえって心は置いていかれてしまいます。
今回モチーフになった 甘麦大棗湯は
甘草(かんぞう)
小麦(しょうばく)
大棗(たいそう)
たった三つの生薬で作られる、とてもシンプルな処方です。
昔から、
「悲しくて泣いてしまう」
「気持ちが張りつめている」
「心が疲れている」
そんな時に使われてきました。
強く押し戻す薬ではありません。
無理に励ます薬でもありません。
そっと隣に座るような処方です。
だからそのまま、お粥という形でよく使われます。
そして今回、もうひとつ描きたかったものがあります。
それは生薬達の成長です。
第六話では珍しく、 クコ先生はほとんど活躍しません。
奥で寝ています。
養生堂では、 いつもクコが答えを持っているわけではありません。
みんなが自分で考え
自分で動き
少しずつ成長していく場所です。
第六話は、 甘草たちが初めて自分たちだけで誰かを迎えた回でした。
だから主役は女性でもクコでもありません。
甘草。
大棗。
桂枝。
芍薬。
生姜。
この五人が主役だったのです。
この回で私が一番好きなのは、
「やさしい味がする」
という場面です。
本当に伝わった時、 人は説明をしません。
理屈も言いません。
ただ、
「ああ」
となります。
味覚が戻ったのかもしれません。
安心したのかもしれません。
泣ききれたのかもしれません。
正解は分かりません。
けれど何かが届いた。
だからクコは最後に、
「ちゃんと届いたみたい」
と言いました。
養生堂には一つだけ大事な決まりがあります。
それは、
『急がないこと』
です。
人が変わるのを急がない。
元気になるのを急がない。
泣き止むのを急がない。
答えを出すのを急がない。
ただ隣に座って
温かいものを出して
必要なら黙って待つ。
そんな場所が一つくらいあってもいいと思うのです。
だから第六話は
お粥の話であり、
甘麦大棗湯のお話であり
そして
「治すより先に寄り添う」
という養生堂のお話でもありました。
養生堂は治療院ではありません。
元気にならなければいけない場所でもありません。
泣いてもいいし、 立ち止まってもいい。
養生堂のみんなは、 その人の歩く速さを勝手に決めないのです。
養生堂のみんなは、 今日も少しずつ成長しています。
いつも生薬達を優しく見守ってくださっている皆様、ありがとうございます🌿
本編はこちらからどうぞ
養生堂Menu



クコさん、こんにちは😊
今の私にピッタリな内容だったかも。
失恋でなくても、悩みがある中、ムリに治そうとしないでいいのかなーと思いました。
とても、素敵な話しでした☺️💕︎💕︎
すんっ(隣に座った)