こんばんは。
薬膳師&鍼灸按摩マッサージ指圧師のクコです。
第七話の裏側には
『半夏厚朴湯 (はんげこうぼくとう)』という漢方薬が隠れています。
『私がお伝えしなければ』
と思っていたお話です。
なぜなら私はこれまで、
「助けてと言えない人」
をたくさん見てきたからです。
体調が悪い。
疲れている。
眠れない。
本当は限界なのに、
「大丈夫です」
と笑ってしまう人たちです。
今回の女性もそうでした。
子育て。
仕事。
家事。
介護。
どれも誰かに褒められることではなく、
当たり前のように毎日続いていくものです。
だからこそ、
「みんな頑張っているんだから」
と自分に言い聞かせてしまいます。
そしてある日、
その飲み込んだ言葉は自分でも理由の分からない
苦しさとして現れてしまいます。
第七話の女性は、
何度も喉に手をやっていました。
実際に何かが詰まっているわけではありません。
けれど苦しい。
息がうまく入らない。
言葉が出てこない。
そんな状態でした。
昔の人はこうした状態を「梅核気 (ばいかくき)」と呼びました。
まるで梅の種が喉に引っ掛かっているような感覚です。
病院で検査をしてもはっきりとした原因が見つからないこともあります。
ですが、今回のお話で私が描きたかったのは、
この喉の違和感ではありません。
女性が
「助けてと言いたかった」
と気付く場面です。
助けてと言うことは簡単なようで難しいものです。
迷惑をかけたくない。
心配をかけたくない。
自分が頑張ればいい。
そう思っているうちに、
本当の気持ちを飲み込むことが
習慣になってしまうことがあります。
養生堂のみんなは、
女性に何も教えませんでした。
ただ待っていました。
女性自身の言葉が出てくるのを。
人は誰かに答えをもらうより、
自分で気付いた時の方が大きく変われることがあります。
だから急がない。
無理に引き出さない。
養生堂のみんなは、いつでもそんな存在でいてほしいと思っています。
私は厚朴(こうぼく)さんの
「そりゃ苦しかったね」
という言葉に渾身の思いを込めました。
たった一言です。
でも、その一言には、
否定も評価もありません。
ただ相手の苦しさを受け止めています。
苦しい時というのは、
意外と正論よりも、
こういう言葉の方が心に届くことがあります。
そして蘇葉(そうよう)ちゃん。
窓を開け、風を通しました。
ただ、苦しい時に
少し風が入るだけで
楽になることがあるからです。
部屋の空気が変わる。
呼吸が深くなる。
景色が少し広がる。
それだけで気持ちが動き出すことがあります。
養生堂らしい場面になったらいいなと思いながら書きました。
第七話の女性は、
最後に「助けて」と言えたわけではありません。
ご主人と話せたかどうかも分かりません。
けれど、
「私は苦しかった」
という気持ちを言葉にすることができました。
それだけでも大きな一歩だったと思います。
もし今、頑張り過ぎている人がいたら。
誰にも弱音を吐けずにいる人がいたら。
上手に話せなくても大丈夫。
完璧な言葉じゃなくても大丈夫。
まずは、
「私、ちょっと疲れていたんだな」
そう認めてあげるだけでも十分です。
養生堂のみんなは、
今日も変わらず温かいお茶を淹れています🍵
第七話は派手な出来事のないお話でした。
けれど私にとっては、
とても養生堂らしい一話になったと思います🌿
追伸
一昨日公開した第七話が、Substack番付で1位となりました。
読んでくださった皆さま、本当にありがとうございます。
第七話は、何度も何度も書き直しながら仕上げた、私にとって特に思い入れのある作品でした。だからこそ、このような形で皆さまに受け取っていただけたことを、とても嬉しく思っています。
これからも、養生堂らしく、一話一話を大切に紡いでいきます🍵🌿



最初は「何かいつもと違うな」「ちょっと疲れているのかな」程度なんですが、それを放っておくと、今まで出来ていたことが出来なくなるという状況になった(現在進行形)ので、最初に疲れている自分を見てあげるのはほんとに大切ですね。
私は「苦しい」と言うのが難しかった頃があるので、この女性の目線で読んでしまいました。
なかなか言えないんですよね。
だからこそ、この女性が「私は苦しかった」と言葉にできた時、自分のことのようにホッとしました。