「ただいまー!」
勢いよく養生堂の扉が開く。
「先生!」
「みんな!」
「聞いて聞いて!」
息を切らしながら
目を輝かせた生姜が飛び込んでくる。
「俺、分かったんだ!」
「しょうきょうでも、しょうがでも、どっちかを選ばなくていいんだ!」
「食材として誰かを笑顔にする時もあるし、生薬として誰かの身体を支える時もある。」
「どっちも俺だったんだ!」
大棗がくくっと笑う。
芍薬も、甘草も、桂枝も、どこか嬉しそうだ。
クコは静かにお茶を注ぎながら、穏やかに頷いた。
「そうですか」
「良い旅でしたね」
その一言だけ。
誰も、
「それはクコ先生がバク神さまにも話していたことですよ」
とは言わない。
自分でたどり着いた気づきは
人から教わった答えよりも
ずっと大きな力になることを
養生堂のみんなは知っているから。
外では蝉が鳴いている。
養生堂には、今日も穏やかな時間が流れていた。
お互いに記事を書き上げたとき、どてらいさんからこんなメッセージをいただきました。
「設定資料を読んで、クコ先生を尊敬している生姜くんが、図らずもクコ先生がバク神さまにかけた言葉と同じ気付きを得て帰る、という光景が目に浮かびました。
きっと、ダッシュで帰って、みんなに自慢げに話すけど、養生堂の面々は『それはクコ先生が言ってたよー』とニヤニヤしてるような。
そんな光景が浮かんできました。」
このメッセージを読んだ瞬間、思わず笑ってしまいました。
私も、まったく同じ場面を思い浮かべていたのです。
作品を書いていると、時々こんな不思議なことがあります。
同じキャラクターを見つめていると、離れた場所で書いていても、自然と同じ光景が見えてくる。
コラボでは、そんな瞬間が不思議と生まれます。
このコラボが始まったきっかけは、第八話『夏の養生会議』でした。
どてらいさんが、
「バク然らいぶらりでも、養生会議のようなことをやってみたいです」
と声をかけてくださったのです。
そこから、「養生堂の誰かが遊びに行くなら誰だろう」という話になり、生まれたのが今回のお話でした。
誰にしようかと考えた時、真っ先に浮かんだのは生姜くんでした。
元気いっぱいで、好奇心旺盛。
人気者の生姜くん。
でもその一方で、「しょうきょう」と「しょうが」の間で、どこか漠然とした疑問を抱えている。
その問いを持って、バク然らいぶらりの世界へ旅をしてもらうことになりました。
そして、もう一つ。
コラボのお話をしていた時、どてらいさんとこんな話をしていました。
「養生にも、余白が必要ですよね」
「バク然にも、余白が必要ですよね」
その時は、作品のテーマとして話していたわけではありません。
でも、あの一言が、気が付けば、今回のコラボ全体の芯となっていました。
養生堂では、お茶を飲み、身体を休める時間があります。
何もしない時間。
焦らず、自分の身体を信じて待つ時間。
一方、バク然らいぶらりさんでは、答えを急ぎません。
問いを立て、問いを持ち帰り、その問いと一緒に過ごします。
どちらも、すぐに答えを出そうとはしない。
その「余白」があるからこそ、人は自分の力で一歩前へ進める。
養生堂とバク然らいぶらり。
違う世界のお話なのに、不思議と同じ空気が流れていた理由が、分かった気がしました。
そして、忘れてはならない登場人物がいます。
バク神さまです。
養生堂では、お茶を飲みながら静かな時間を過ごします。
バク然らいぶらりへ戻ると、
「どこへ行ってきたの?」
という問いに、
「……ひみつ」
と笑って答えていました。
その一言を読んだ時、とても嬉しくなりました。
全部を言葉にしなくてもいい。
全部を説明しなくてもいい。
身体を休める時間も。
心と向き合う時間も。
その人の中で何かが少し動き出せば、それで十分なのかもしれません。
生姜くんも。
バク神さまも。
それぞれ違う道を歩きながら、同じ景色を見て帰ってきたような気がしています。
今回のコラボでは、どちらかの世界に寄せるのではなく、お互いの世界を大切にすることを一番意識しました。
だからこそ、養生堂は養生堂のまま。
バク然らいぶらりはバク然らいぶらりのまま。
それでも二つの物語は、自然と一つにつながりました。
それが何よりうれしかったです。
最後になりましたが、お声がけしていただいたどてらいさんと、
生姜くんの『バク然』に丁寧に向き合ってくださった
バク然らいぶらりの皆様に、この場を借りてお礼申し上げます。



クコさん、こんばんは。
異色のコラボだと思っていましたが、余白という架け橋があって生まれたんですね😁